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プラットフォーマーとは何か?成長のためには、何が必要なのか?

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分 14 秒です。

目次

プラットフォーマー 勝者の法則/ロール・クレア・レイエ ブノワ・レイエ

最初に一つのご質問をさせてください。

今、あなたが日常的に、最も活用しているデジタルツールを一つ思い浮かべてください

そのツールは、どんなものでしたか?

・Amazonですか?メルカリですか? 楽天ですか?

・Twitter、Facebook、 Instagramですか?

・Google、ヤフー、LINEですか?

・それとも、何かのアプリですか?

どれかに該当していた場合、そこには、共通するものがあります。

それは、「プラットフォーム」であるということです。

このように、プラットフォームは、私の生活と非常に身近な存在です。

身近なだけに、その利用価値が高ければ高いほど、期待される価値も上がり、プラットフォームを提供する「プラットフォーマー」の企業価値も上昇していくこととなります。

私たちは、参加者になることのほうが多い側面はあるでしょうが、これからの新しいビジネス創造の形としては、むしろ、「参加者」から「提供者」になるための事業戦略、つまりは、ビジネスツールとしてのプラットフォームの提供を一つの可能性として、検討余地があるでしょう。

プラットフォームビジネスを創造するうえでの指南書ともいうべき、書籍を紹介したいと思います。

 

 

この書籍のポイント

①プラットフォーマーとは?

②プラットフォーマーを成功に導くための成長指標【ロケットモデル】

③ プラットフォーマーの課題と、プラットフォームビジネスに対して持つべき姿勢

① プラットフォーマーとは?

プラットフォーマーとは、いったいどういったものでしょうか。まずは、本書での定義から触れておきましょう。

本書でのプラットフォーマーの定義

「2つ以上の顧客グループを誘致し、仲介し、結びつけ、お互いに取引できるようにすることで大きな価値を生み出している企業であり、たとえば、イーベイやエアビーアンドビー、ウーバーなどがこれに当たる」

とのことです。ちなみに、イーベイは、日本ではあまりなじみがないかもしれませんね。私も、実際に使ったことは、ありませんが、希少価値が高い商品を、CtoCで取引できるECサイトといったようなものだそうです。日本で言えば、メルカリの性格に近いかも知れませんね。

プラットフォーム企業の成功の形

と、プラットフォーマーの定義について、触れましたが、本書によると、プラットフォーマーの多くは、プラットフォームの提供だけを事業の柱としているわけではなく、既存の事業やツールの提供により、ビジネスを組み立てている企業が多いそうです。

それが、プラットフォームに複数のビジネスモデルを組み合わせた「プラットフォーム推進型エコシステム」という形です。

例えば、Amazonをイメージして頂ければわかりやすいと思いますが、プラットフォームの提供だけでなく、クラウドサービスや、動画配信、音楽配信などをECサイトを後押しする形で、ビジネスモデルに組み込んでいますよね。

Googleの場合も、検索ツールを展開するだけでなく、アンドロイドのアプリ開発プラットフォームを提供したり、広告作成ツールなどの課金の仕組みをビジネスモデルに組み込んでいますよね。

プラットフォーマーの一大目標

それでは、プラットフォーマーが最も重要視すべきことは何でしょうか?

本書によると、「顧客体験における摩擦が衝突をなくし、適切な機能をユーザーに提供することで好循環を生み出し、それを強化すること」と説明されています。

つまりは、プラットフォーム参加者の利用価値を向上させて、参加者を増やしましょうということですね。

なぜなら、ユーザーにもたらされる価値が、ユーザー数の増加とともに高まる「需要サイドの規模の経済」を生むからです。欲しいモノを探すために、サイトを訪問しても、売っているものが少なければ、利用しようと思わないですよね。

参加者が増えれば増えるほど、価値が上がるということを、経済的な用語で、ネットワーク効果と言います。

現代の変化が激しい市場の中では、「最初に立ち上げる」よりも、「最初に拡大させること」が重要です。そのためには、ニッチ市場とそこで求められるイノベーションを特定し、新たな価値提案を拡大させる能力が求められます。つまりは、ユーザーのペイン(不満や課題)を特定し、そこに対して、新たなサービスを提案するということです。プラットフォーマーは、自社でこのサービスを直接届けるわけではありませんから、利用者の数を増やし、ネットワーク効果を生む必要があるというわけです。

本書で登場する専門用語

本書では、複数の専門用語が登場します。ここでは、3つだけ紹介しておきましょう。

クリティカルマスとは

「そのネットワークの成長が「自立」するかどうかの分かれ目」

と説明されています。つまりは、「ここまで利用者が増えれば、ある程度自動で、取引が始まっていくだろう」という最初の目標地点です。プラットフォームでは、このクリティカルマスを生産者(売り手)と、ユーザー(買い手)の両方で達成させる必要があります。

ティッピングポイントとは

「ネットワークが、ネットワーク効果の蓄積によって、元の状態(競合あるいは通常の取引状態)から別の状態(独占あるいは市場崩壊など)に移行する地点」

と説明されています。つまりは、そのツールが、既存の取引形態や競合ビジネスに影響を及ぼすための参加者規模の目標地点です。クリティカルマスに近いところがありますよね。

需要の価格弾力性とは

「価格が1%変化したときの需要量の変化率を表す」

と説明されています。つまりは、値上げや値下げの影響です。

プラットフォームにとって、価格設定の変更とネットワーク効果は表裏一体です。価格を上げることで、利用者の数が減ってしまう可能性があるので、価格変更の際には、注意が必要です。実例をあげると、「メルカリ」が、取引手数料を課金し始めたのは、600万ダウンロードを達成されたあとです。

② プラットフォーマーを成功に導くための成長指標【ロケットモデル】

プラットフォーマーに求められる5要件

成長の指標に入る前に、プラットフォーマーが検討、解決策を求められる5つの要件について、解説しておきましょう。

これらの5要件は、この後説明する「ロケットモデル」の各段階にて、それぞれ違った戦略を検討し、実行していく必要があります。

要件1:クリティカルマスの顧客を両サイドに誘致すること
要件2:両サイドの顧客を仲介すること
要件3:両サイドの顧客間で交渉させる仕組みをつくる
要件4:両サイドの顧客間で取引させる

補足:要件4の取引させることこそが、プラットフォーマーの存在価値であり、どのような取引が、プラットフォーマーの利用価値となる「コアな取引」なのかを検討しておく必要があります。

要件5:オペレーションとエコシステムを最適化しつづける

補足:つまりは、最適な組織形態やツール形態についての仮説を検証し、利用者から得たデータを、分析し、改善につなげていきましょうということです。

ロケットモデルとは

ロケットモデルとは、簡単に言うと、プラットフォーマーの成長段階に応じて、成長指標や戦略論も違うため、成長段階に応じてアプローチしていくためのモデルケースです。

なお、本記事で紹介するのは、本書で紹介、提示されている成長指標や検討課題のほんの一例です。実際にプラットフォームビジネスを検討される際は、熟読されることを強くお勧めします。

成長段階は、4つの段階に分かれます。

それでは、成長段階を順に確認していきましょう。

成長段階1:設計期

設計期は、プラットフォームについて、設計を検討する時期です。

要件1:誘致

参加者にどのような価値提案ができるか? どのような参加者が想定されるのか?どのような協力者が存在するか? 現状の市場規模は?今後の市場規模の成長可能性はどの程度か? など

要件2:仲介

参加者からどのような情報収集が必要か?など

要件3:交渉

どのようにすれば繰り返し使いたいとなるか?参加者には、それぞれどのような情報提供が必要か?など

要件4:取引

コアとなる取引は何か?など

要件5:最適化

どのような方針、規則により整備するのか? プラットフォームの成長指標をどのようなものを設定するのか? など

成長段階2:点火期

点火期は、コンセプトを実証する段階です。プロトタイプを動かして分析する段階ともいえます。

要件1:誘致

まず、誰をどのように誘致するのか?など

要件2:仲介

プロタイプの、取引を仲介する機能が成立しているか?など

要件3:交渉

参加者にとっての障害はないか?など

要件4:取引

取引を行うにあたっての技術的障害はないか?など

要件5:最適化

どのようにデータを収集すればよいか?など

成長段階3:上昇期

実際に成長していく段階です。企業に勝利の文化を根付かせること、優秀な人材を集めること、多額の成長投資を呼び込むこと、規制のハードルを越えることなどが、検討課題です。

要件1:誘致

どのようにすれば、さらに参加者を獲得することができるか?悪質な参加者を排除するためにはどのような管理が求められるのか?など

要件2:仲介

参加者にとって取引の効率は悪くないか?など

要件3:交渉

参加者の利便性を向上するためのどのようなQ&Aを整備すればよいか?など

要件4:取引

取引の信頼性などを強化するためにどのような管理運営が求めらるか?など

要件5:最適化

参加者の不満や利便性向上のために、プラットフォームを調整するとしたら、どのようなことが考えられるか?など

成長段階4:安定期

ある程度の急成長を遂げて、ある種守りの運営をしないといけない段階です。競合の脅威に対処し、参加者のリピート率、滞在時間、維持率を向上させて、カスタマーサービスの強化や更なる信頼のためのブランディングが求められます。

要件1:誘致

見込み参加者を実際に呼び込むためのイベントをするとしたらどのようなことが考えられるか?など

要件2:仲介

検索システムを設けるとしたら、どのような項目を準備すればよいか?など

要件3:交渉

参加者が交流しやすいように、コミュニティやサークルを整備すべきか?など

要件4:取引

取引をよりスムーズにするためには、どのような柔軟性が求められるか?など

要件5:最適化

さらなる成長をするために、追加すべき機能や、織り込むべき新たなビジネスモデルはないか?など

③プラットフォーマーの課題と、プラットフォームビジネスに対して持つべき姿勢

ポイントの2つ目として、プラットフォームの成長のモデルケースを解説しましたが、

ポイントの3つ目では、それでは、プラットフォームを運営するうえで留意すべきこととは何か?

既存のプラットフォーマー以外の企業は、プラットフォーマーに対してどのような姿勢を持つ必要があるのかについて確認していきます。

プラットフォームの課題

本書では、課題として、4つ紹介されています。

課題1:ネットワーク効果に依存してしまう
課題2:一方の参加者への価格設定が、もう一方の参加者に影響する
課題3:クリティカルマスの顧客を確保するまでの資金繰りなどが苦しい
課題4:価値提案全体を強化するための最適な価格設定を模索する必要がある

本書では、これらの課題に対して、大きく二つの戦略が提示されています。

戦略1:価格戦略(課題2と4に対して)

こちらは、課題の2と4に対応するものといえるでしょう。

課題2の話は、楽天市場での一定価格以上の商品については、送料無料にすべきだというルール改定に対して争い、国が楽天に対して規制をかけるかかけないかというニュースが話題になっていましたよね。

では、どのように価格に対してアプローチしていけばいいのでしょうか。

検討項目として本書で紹介されているものの一部を紹介したいと思います。

・価格は誰が決めるのか?生産者か?消費者か?管理者か?

・どのような価格体系とするか?登録料方式か?年会費方式か?従量制の取引手数料方式によるか?割引を設けるか?ツールやアイテムに課金するか?

・生産者に課金するのか?利用者に課金するのか?広告主に課金するのか?

・無料期間を設けるべきか?

・どのように有料するか?プレミアムオプションを設定すべきか?

などです。

また、いつ課金するのか?も大事で、タイミングを間違ってしまうと、売り手と買い手がマッチングした後に、プラットフォーマーを省いて、連絡を取り課金できなかったなんてこともあり得てしまうからです。

戦略2:信頼性向上戦略(課題1と3に対して)

こちらは、課題の1と3に対応しているものといえるでしょう。

プラットフォームを信頼して取引へつなげてもらうには、まず、プラットフォームが提案するアイデアを信頼し、使ってみようとなり、プラットフォームが使って大丈夫だと信頼し、参加者がお互いを信頼して、取引しても大丈夫な人だという段階を歩む必要があります。

なお、参加者どうしの信頼でいえば、

顔写真を掲載し、身元認証を受け、プラットフォーム内で高評価を受けていると、赤の他人でも、家族と同じぐらい信頼するというデータがあるそうです。面白いですよね。

本書では、プラットフォーマーが信頼され、安定した取引へつなげるための7項目が紹介されています。

信頼のための7Cとは

・信用:製品やサービスについての理解

・貢献:参加者による活動

・一貫性:参加者が受け取る体験の質

・コミュニティ:参加者同士の関わり方

・制御:プラットフォームでの活動を監査・制御するツールやプロセス

・是正:不正な活動を抑制・是正するツールや行動

・補償:問題が発生したときの顧客支援の在り方

既存企業が持っておくべき視点

既存企業がプラットフォーマーへの姿勢を誤ったことで、失敗だったのでは?と言われている話を一つ紹介します。

それが、「ブロックバスター」と 「Netflix 」というDVDレンタル業者の話です。

Netflix は、当初ブロックバスターに対して、提携を打診したそうですが、ブロックバスターは、却下しました。

結果、ブロックバスターは、市場から敗退しましたね。

このように、プラットフォーマーへの姿勢を間違えると、企業の存続に影響を及ぼす可能性も少なくありません。

本書では、既存企業に求められる姿勢として、5種類の望み方を提示しています。

・受容すること

・提携すること

・強化すること

・企業に変化を起こすことができる人材を動員すること

・既存事業をより成長させて対抗する

なお、別の書籍とはなりますが、一度地位を築いた既存事業が、後発企業に敗退しないための戦略論としては、以下の書籍がおすすめです。

 

おわりに

いかがだったでしょうか。

かくいう私も、将来的には、プラットフォームビジネスに進出しようと考えている一人です。

顧客にダイレクトに商品やサービスを展開するD2Cブランドとプラットフォーマーの在り方に非常に注目しています。

自分のためにも、今後もビジネスモデルを研究していければと思います。

ではまた!

まとめノート

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税理士 ヒロ

経営者、数字が苦手な方に寄り添い、税務の立場から支援したいという思いから税理士を目指し、20歳の時に税理士試験に合格しました。 その後、資産承継、事業承継に特化した税理士事務所に入社し、日々顧客の満足とは何か、自分の成長の形とは何かを追い求め、7年目に突入しました。 こちらのブログでは、私の日々の学びやアウトプットを記事として投稿しておりますが、会社経営をされる方、新規事業を考えられる方、事業戦略を考えている方の少しでも参考になれば嬉しい限りです。 私のアウトプットを通して、足りないと感じていた1ピースや、改めて見つめなおすべき1ピースを見つけ、考え直す場として活用頂ければと考えております。

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