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目次
トップも知らない星野リゾート/前田 はるみ
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本書の中で、「観光産業は、人口減少をむかえる日本経済の成長産業だ」と星野社長は語ります。
観光産業が日本経済を復興させるという話は、森岡毅さんもインタビュー動画の中で、語られていました。
少子高齢化以前に、人口減少トレンドの日本国においては、インバウンド需要に対するサービス開発により、日本に収入をもたらそうという発想は、デフレにより需要の減少が叫ばれる我が国においての、本質的な答えなのでしょう。
この記事から学べること
①”真”にフラットな組織とは?
② ”真”に フラットな組織であることのメリットと ”真”に フラットな組織が求められる要因
③ ”真”に フラットな組織である星野リゾートが行うマネジメント
①”真”にフラットな組織とは?
まずはじめに、”真”にフラットな組織とはどのような状態をいうのか?を理解しておく必要があるでしょう。
星野さんは、”真”にフラットな組織とは、組織図が形状的に平らであることを言うのではないと、仰います。”真”にフラットな組織とは、お互いの働き方がフラットである組織を言うそうです。
働き方という意味では、従業員の意識すら変える必要がありますので、文化そのものから変えていく必要があると言います。
”真”にフラットな組織にある会社で生まれやすい文化

それでは、”真”にフラットな組織とは、具体的にどのような状態にあるのかを知っておきましょう。
”真”にフラットな組織では、以下のような状態が生まれやすいと言います。
・社員一人ひとりがポジションに関係なく、思ったことを発言している
・社内の情報の流れに規制がなく、相手の部署や役職に関係なく、社員は常時を通さず、話したい人に自由に話ができる
・議論や発想を行ううえで、必要な情報に、知りたいと思ったときにアクセスができる
・オフィスを見渡しても、誰が役職者なのかわからない
・会議や飲み会に席の指定がない
・集合写真を撮るときにも、ランダムに並んでいる
・社内での情報共有がまんべんなく行われている
② ”真”に フラットな組織であることのメリットと ”真”に フラットな組織が求められる要因

”真”にフラットな組織になることによるメリットは3つあります。
その3つとは、
メリット1:自主性が高まる
メリット 2:チームの一体感が生まれる
メリット 3:イノベーションが自然と生まれる
というものです。
経営者であれば、どれも自分の組織に求めるものばかりではないでしょうか?
それでは、一番大事な、なぜ”真”にフラットな組織が、このような結果を生み出すのかということも合わせてみておきましょう。
要因は3つあります。
”真”にフラットな組織が求められる要因1:仕事が楽しくなり、人材が定着しやすくなる
星野さんは、その経験上、社員は、自ら発想し、発言し、行動できる自由を求めている流れにあると語ります。
指示を受けて行うだけの業務、発想を表現する機会がない環境、表現や行動をすることが不利益につながる可能性がある職場では、次第に人は自主性を失ってしまいますし、働きがいも低下してしまいます。
どこまで社員一人ひとりに「自由」を与え、自主性を高めてもらうことができるかを考えることが大事であり、そのためには、”真”にフラットな組織が必要ということですね。
”真”にフラットな組織が求められる要因 2:「真実の瞬間」を見事にこなすことができる組織となる
「真実の瞬間」とは、サービス業において、顧客から要望を受けたときに、どのように対応するのか、その経営判断を接客する社員一人ひとりが瞬時に行う状況や場面のことを言います。
そのためには、社員一人ひとりが会社のビジョンと戦略を理解し、共感し、自ら発想して、行動できる環境の中で、高いモチベーションを維持して仕事していることが必要と言います。
つまり、自主性が高いことはもちろん、情報共有が徹底されている必要があり、そのためにも、”真”にフラットな組織が必要ということですね。
”真”にフラットな組織が求められる要因 3:情報量が均一であることにより、正しい議論ができる
情報量が均一であることで、会議などでの上司の優位性を減らし、「自分なんかが発言しても」とか「間違っているかも知れない」という不安を和らげることができます。正しい発想や説得力がある提案しやすい風土ができやすいということですね。従業員にとっては、発想する意義が高まるというわけです。
管理職としても、みな条件が同じ状態で議論していることから、対等な立場で議論に参加することができ、役職の責任感にとらわれることなく、思いつきで、どんどん発信し、部下などから妥当性のある批判を受けたら忠ちに、そちらに乗り換えるという柔軟な姿勢を取ることもできるというわけです。
③フラットな組織である星野リゾートが行うマネジメント

星野さんが、イノベーションを大事にするのは、「リゾートが提供するものは、自分たちのこだわりであり、それが顧客の期待から外れることもあれば、予想以上の驚きや発見を生むこともある。この驚きや発見が旅の面白さを感じさせるのだ」という価値観を大事にされているからだそうです。
加えて、驚きや発見を生むための魅力やサービスは、一度つくって終わりではなく、常に進化が必要なのだとも仰っています。
そのためにも、アップデートやイノベーションを生み出そうという心掛けが重要というわけですね。
フラットな組織であり、イノベーションを次々と生む星野リゾートでは、従業員のやりがいを醸成するためにも、あらゆる制度が用意されています。
代表的なものを3つ紹介します。
・立候補制度
星野リゾートでは、入社2年目から、管理職へ立候補できる制度があります。これにより、愚痴を言うのなら、自分でその立場になって、変えてみようという考え方を生むため、自然と他人の愚痴を言う人が減るそうです。
なお、立候補には、プレゼンが必要であるため、そもそも事業に対する理解、会社に対する理解が求められるため、視野を広げる効果があるとのことです。
・休職制度
星野リゾートでは、最長2年間、自己学習のために休職できる制度があります。この期間を使って、大学へ進学することも、旅行や、他のホテルに転職することも認められているそうです。面白いですよね。
環境を変えてみて、充電することで、発想の転換が生まれ、イノベーションを後押しする効果を生むのだろうと思います。
・麓村塾(ろくそんじゅく)
星野リゾートでは、意欲ある人に向けた学ぶ機会として、様々な社内講座が用意されています。それが、麓村塾(ろくそんじゅく)です。この講座で、学んだことを実践し、仕事に活かせば評価につながる設計になっているそうです。面白い考え方ですよね。
ビジネス書を大量に読んでいるビジネスパーソンの中にも、それを仕事に活かしきれていない人は意外と多いと思います。少し前の私もそうでした。学ぶこと自体が目的になってしまっていた一人です。
そんな、学びを仕事に直結させる習慣がない人達にも、自然と学びを仕事に活かすためには?という発想を促しやすいのではないかと感じました。
何より、時間は誰に対しても平等で、社員一人ひとりが学び、これを仕事に活かそうとすることで、最大の相乗効果を得ることができるのではないかと私は考えております。
おわりに
「フラットな組織を目指そう!」と言うのは、簡単ですが、実現するのは、組織の理解、組織の風土づくりから始めていく必要が求められそうですよね。まさに「言うのは易し、行うは難し」といったところでしょう。
本書の中で、星野さんは、「フラットな組織を目指すには、トップのコミットメントが不可欠だ」と仰っています。
こればかりは、人任せではだめだということですね。
そのうえで、まずはじめに、「偉い人信号」を少なくしていくことで、「○○部長」や「○○課長」のような役職ではなく、みな、「○○さん」と呼ぶことをはじめ、自由な発言をうながしてくことが大事と仰っています。
忙しい経営者もこのあたりをよく理解し、”真”に、フラットな組織になることで、社員の自主性が高く、イノベーションが次々と生まれる仕組みを持った組織を目指したいものです!
本書では、星野社長が考えるフラットな組織の考え方だけでなく、表紙にもある通り、10の現場事例が紹介されていて、非常に面白いですし、紹介されている各地の星野リゾートへ羽を伸ばしてみたくなります。
星野リゾートを自分のご褒美にできるように、日々の仕事に精いっぱい真摯に、謙虚に、全力で取り組んでいこうと思います!
ではまた!
まとめノート
税理士 ヒロ
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