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サブスクリプションで売上の壁を超える方法/西井敏恭
2019年は、「サブスクリプション元年」だなどと、言われていました。サブスクリプションモデルで新規事業を開発したい!と思う人や、「今の時代はサブスクでしょ!」と言う人たちの中で、「サブスクリプション」について、正しく理解できている人がどの程度いるのでしょうか?
私は正直この書籍を読むまで、定額利用のサービスになれば、サブスクリプションになるのでは?と考えていました。
そんな、私のようにサブスクについて、いまいち理解できていない人や、新規事業として、どのような設計をすればよいのかわからない人には、ぜひご一読をお勧めしたい書籍を紹介します。
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この書籍のポイント
①サブスクリプションを正しく理解できる
②サブスクリプションのタイプを体系的に理解できる
③サブスクリプションの事業計画策定のためのフレームワークを学ぶことができる
① サブスクリプションを正しく理解できる

まず、最初に理解しておかないといけないのは、サブスクリプションとは何かという認識です。
私のように、定額利用性のサービスをすべて、サブスクリプションだと考えている人も正直多いと思います。ただし、この理解だけではいまいちです。正しいサブスクリプションとは、「定期的な利用があり、かつ、データが活用されている商品・サービスのこと」を言うそうです。
そもそも、なぜ、サブスクリプションモデルのビジネスが求められるのか?という話ですが、サブスクリプションモデルは、顧客データを基に、商品、サービスの改善を重ね、使い続けてもらうことで、顧客との関係性を深めることができるのが、強みです。つまり、「顧客を知る」マーケティングができるということです。
現在のマーケティングを取り巻く環境は、「マーケティング4.0」と言われ、顧客の自己実現が重要視される時代です。顧客が何を求めているかという「マーケティング2.0」の時代や、価値が高いものが求められるという「マーケティング3.0」の時代から、一歩進んで、顧客が満足し、使い続け、成功体験を積みあがることができる商品や、サービスを選ぶ時代が来ているといえます。
サブスクリプションモデルを採用することで、顧客を知り、顧客の成功体験に寄り添うことができるということですね。
日本では、顧客が何を求めているかという「マーケティング2.0」の段階で止まっている企業が意外にも多いそうなのですが、これは、売って終わりという視点に陥っている企業が多いとも言い変えることができるのではないでしょうか。
そのうえで、サブスクリプションに向くビジネスかどうかを見極めるには、ユーザーの困りごとや不満をサブスクリプションモデルで解決に導くことができるかどうかにより判断できます。
つまり、サブスクリプションモデルを目的にするのではなく、顧客の悩みを解決するための手段として用いようということです。
② サブスクリプションのタイプを体系的に理解できる
サブスクリプションのタイプには、
・クラウド型(より細かく、SaaS型とデジタルコンテンツ配信型があります)
・シェアリング型
・予約購買・利用型
の3種類があります。
クラウド型

SaaS型であるセールスフォース、freee、スマートHRなど、と、デジタルコンテンツ配信型であるAmazonプライム、ネットフリックス、Spotifyなどがあります。サブスクと言えば、こちらのタイプをイメージする方が多いのではないかと思います。
こちらのタイプの戦略としては、シェアをいかに拡大するのかを考え、利用データを積み上げることで、改善を繰り返すことと、顧客に個別個別にフィット(レコメンドなど)させて、利用しやすさや成功体験を積み上げていくためのサービス開発が求められます。
シェアリング型

車のライドシェアや、オヨなどの住宅シェア、家具などのシェアなど、いわゆるシェアリングエコノミーに寄り添うタイプです。シェアリングエコノミーの市場規模は、2018年度で1兆9000億円あるそうです。所有から利用へ移行することで、これは、より成長が想定される市場となるのではないでしょうか。
こちらのビジネスは、変えたくても変えるのが難しいモノ(高額、動かしにくいモノ)などの商品やサービスへの活用が有効となります。
予約購買・利用型

おいしっくすやスナックミーなどのように、定額支払いを受けることで、オーダーメイドで、継続的なサービスを提供するタイプです。
こちらの戦略は、流通業者を介さない商品やサービスを開発、提供するDtoCに有効です。
DtoCモデルは、流通業者を介さないことで、顧客単価を下げることができたり、顧客の声を直接聞くことができるなど強みがあるため、注目されています。このDtoCモデルは、日本が発祥らしいですよ。
③ サブスクリプションの事業計画策定のためのフレームワークを学ぶことができる

本書は、サブスクリプションモデルの新規事業を開発するためのフレームワークが紹介されています。
そのフレームワークは5段階に分かれており、
・顧客の不満や困りごとが何かを考える
・試作品やアンケートなどで、仮説を検証し、困りごとが解決できるか検討する
・従来のサービスで満たされないものがどのような形になれば満たされ価値を価値を感じてもらえるのかを考え、かつ、それがコストや人材、技術的に、実現可能かどうかを考える
・ビジネスとして成立するかどうかを考える
・実際に投入した後に、どのような改善が顧客の成功に直結するかを考える
の5段階です。
なお、サブスクリプションの事業計画を作成するうえでは、将来の継続的な売上を読むことが重要です。これを正しく捉えるためには、解約率がどれほどかを把握しておく必要があります。
書籍の中では、解約率も検討したうえで、広告費をいつ、どれほど投下するべきかも具体的な数字を用いて解説されています。
これらを言い換えると、解約率を下げることが、サブスクリプションモデルを支えるということです。
顧客の成功をつくれないと解約されるため、顧客の成功とは何か?なぜ、寄り添えなかったのかをリアルタイムで分析し、改善し続けることが重要ということですね。つまり、サブスクリプションは、リアルタイムで分析することができるからこそ、サービス開発のスピードを高め、戦略を明確にできるということです。
おわりに
私が展開しようとしているオンラインサロンもサブスクモデルのビジネスの一つでしょうし、将来的には、SaaS型のツール開発を考えております。その意味では、個人的には、この書籍は、学びが多い一冊となりました。サブスクモデルのビジネスを検討する方々には、ぜひご参考にして頂ければ幸いです!
ではまた!
まとめノート(時間がない方は、こちらだけでもOK)
税理士 ヒロ
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