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大企業×スタートアップのイノベーションの可能性【令和2年度税制改正情報含む】

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分 20 秒です。

大企業×スタートアップが生み出すイノベーションを考える

大企業とスタートアップの相乗効果というテーマは、昨年から今年にかけて、よく取り上げられる題材ではないでしょうか?(newspicksのアップデートという番組でも取り上げられていましたね。非常に面白かったです。)

話の大前提として、私は、大企業はダメだ!とか、スタートアップがもっと活躍するべきだ!などというようなどちらか一極によった意見を申し上げるつもりはありません。

個人的には、世間的にはまだまだ若輩者で片付けられがちな私としては、スタートアップが革新的ビジネスで大企業に立ち向かっていく姿勢はぜひ応援したいですし、競争により、よりよいサービスを市場にもたらしている可能性すら感じております。

しかし、スタートアップの動き方が必ずしもすべての企業にあてはめるべきかというともちろん、そんなことはありません。スタートアップの姿勢から見習うことはあるものの、大企業には、大企業が持つ認知度や数的展開力、資本力などの強みがあり、スタートアップには、大企業にはない意思決定のスピードや柔軟性があるわけですから、それぞれの強みを有効活用し、相乗効果を生み出すことで日本経済が成長することを応援したいです。

イノベーションを起こすために

まずイノベーションとは何か?ということですが、これは、ネスレ日本の高岡社長の言葉がすごく的を得ています。

それが、「顧客がまだ気づいていない、もしくは、諦めている問題を発見し、それを解決するのがイノベーションである」という言葉です。「顧客が気づいている問題を解決するのは、リノベーションに過ぎない」とも仰っています。

つまりは、顕在化したニーズだけではなく、潜在化しているニーズを読み取り、提案するというような一流の営業マンに求められるスキルこそ、イノベーションには不可欠ということです。

経済産業省のイノベーション100委員会が出している「日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針」という資料に、日本企業がイノベーションを起こそうと考える際のポイントや阻むあるあるが掲載されていました。実際の企業事例なども掲載されていて、非常におもしろいです。

以下ボタンより、別タブにて開くようにしておりますので、興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

イノベーションを起こすために、ということで、今回はその中から二つほど取り上げたいと思います。

イノベーションに立ちはだかる「あるある」

まず、一つ目に取り上げるのが、イノベーションに立ちはだかる「あるある」問題

あるあるとしては、

・既存事業と新規事業が同じ評価基準や同じ収益化の基準で判断されてしまうことで、大きく収益化する前に、撤退してしまったり、意思決定プロセスが複雑化し、リソース投入の判断が遅くなる

・社内外のリソース活用をし、生産性を上げようとする意識が、次第に、社内外のリソース活用が目的になってしまい、非効率なリソース活用を行ってしまうことがある

・大企業は、スタートアップを下請けなどと同じような扱いをしてしまいがち

などの話がありました。面白いですよね。天才の評価、革命者の評価は、既存のKPIで測るべきではないという話は、「天才を殺す凡人」でも取り上げられていました。また、目的を見失うという行動は、企業が大きくなり、価値観を共有が薄くなると、陥りがちなミスですよね。

非イノベーション「あるある」への対策

それらの対策としては、

・既存事業と新規事業で意思決定のプロセスを変え、新規事業の意思決定に関しては、素早く実行できるような組織体制を構築する。

・既存事業に従事するメンバーも新規事業を馬鹿にすることなく、資金、人材などの経営資源を支援を行い、みんなで新規事業を助ける風土をつくる

・スタートアップは、急速な成長の戦略を持ち、イノベーションの推進に最適化された一組織体制であることを理解し、対等の存在として扱うこと

などが紹介されていました。

社内体制の風土構築については、新規事業のためのフレームワークを考える「ズラシ戦略」でも紹介されておりましたので、興味がある方は、ぜひご一読頂ければと思います。

 

オープンイノベーションの重要性

二つ目に取り上げるのが、オープンイノベーションの重要性についてです。

まず、オープンイノベーションとは何か?というところですよね。

オープンイノベーションとは、「社外リソース、知見を積極的に活用して、自社の研究開発などを推進すること」と言ってよいと考えます。要するに、自らのリソースだけにこだわらず、外部のリソースも積極的に活用していきましょう!ということです。

日本経済の成長のために、オープンイノベーションを促進しようとする動きがあります。

なぜなら、他社の経営資源も視野にいれて、経営を行うことで、生産性を向上し、成長を加速させるための狙いがあるからです。

既にオープンイノベーションのためのプラットフォームはエイコンなどを通して整備されつつあると感じますが、まだまだ認知度が高いわけではありませんし、企業相互間で経営資源を共有しあう文化は、そこまで根強くはないでしょう。

エイコンについて確認したい方は、以下ボタンより別タブで開くようにしてあります。非常に面白いサイトですよ。

これまでの日本では、自社が持つ経営資源やノウハウを他社に積極的に公開していこうという姿勢は、薄かったといえるのではないでしょうか。守りの経営という観点では、すべてを公開しないのはごもっともなのですが、一部公開を行うことで、自社の経営が成長する可能性を上げるものもあります。

米国では、自社の商品販売情報などを公開して、学生に新たなサービスを開発させるというコンテストを積極的に実施している企業もあるほどです。(米国メジャーリーグのドジャースは事業共創プログラムのために球団の全データを開示しました(詳細はズラシ戦略に記載されています。))

そこで、これを税制から支援しようというのが、令和2年度税制改正により、改正が予定されているオープンイノベーション促進税制です。

オープンイノベーション促進税制

イノベーションを生む可能性や、日本経済の成長を見越して、大企業のベンチャー企業への投資を促進するための税制創設となります。

対象の法人が行う、ベンチャー企業への投資のうち、25%までを損金に算入してもよいという特例です。

では、具体的にそれぞれ見ていきましょう。

①対象法人

特定青色申告を行う内国法人等で 特定事業活動を行うもの

つまりは、外部のリソースを有効に活用しようとする内国法人といったイメージとなるでしょう。

※特定事業活動を行うもの・・・外部の経営資源を活用して、高い生産性が見込まれる事業の運営や、新規事業開拓を目指す内国法人(税制改正大綱より)

②出資先法人の範囲

既に事業を開始しているもので、設立後10年未満の未上場会社で、特別新事業開拓事業者である法人

※ 特別新事業開拓事業者 ・・・ 新商品の開発又は生産、新たな役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動を行うことにより、新たな事業の開拓を行う事業者(新たに設立される法人を含む。第八項において同じ。)であって、その事業の将来における成長発展を図るために外部からの投資を受けることが特に必要なもの 等のうち、特定事業活動に資する活動を行うもの(産業競争力強化法より)

つまりは、スタートアップのうち、外部からの投資を受けることで、より成長発展が期待される企業といえるでしょう。

③出資の範囲

出資先企業の資本金の増加に伴うもので、1億円以上100億円以下の出資で、その株式につき、経済産業大臣が一定の要件を満たすとして、証明しているもの

ただし、資本金1億円以下の中小企業者が行う出資については、1,000万円以上からの出資が対象となります。

④損金算入額

株式取得日を含む事業年度末まで保有していれば、取得価額の25%までを損金算入可能(一定の経理要件あり)

⑤対象期間

令和2年4月1日から令和4年3月31日までに取得した株式が対象

⑥損金算入取り消し要件(益金算入要件)

取得から5年以内に、一部でも手放した場合や出資先から配当金を受け取った場合、株式について、経済産業大臣の証明が取り消された場合などには、損金に算入していた金額を戻しいれることとなります。

おわりに

スタートアップの経験談に関する書籍を読んでいても、ベンチャーキャピタルや出資元からの出資金だけでなく、経営アドバイスや経営資源上のサポートにより、成長を助けてもらったという話はよく聞きます。

ライザップのように、社外取締役として、役員を出向などで受け入れるケース、経営資源をお互いに共有する文化が根付けば、その相乗効果により、日本経済の成長を後押ししてくれることに期待したいです。

そのために、この税制改正がどのような効果を及ぼすのか今後の動向に注目したいです!

ではまた!

 

 

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税理士 ヒロ

経営者、数字が苦手な方に寄り添い、税務の立場から支援したいという思いから税理士を目指し、20歳の時に税理士試験に合格しました。 その後、資産承継、事業承継に特化した税理士事務所に入社し、日々顧客の満足とは何か、自分の成長の形とは何かを追い求め、7年目に突入しました。 こちらのブログでは、私の日々の学びやアウトプットを記事として投稿しておりますが、会社経営をされる方、新規事業を考えられる方、事業戦略を考えている方の少しでも参考になれば嬉しい限りです。 私のアウトプットを通して、足りないと感じていた1ピースや、改めて見つめなおすべき1ピースを見つけ、考え直す場として活用頂ければと考えております。

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