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目次
99%の日本人がわかっていない国債の真実/高橋洋一
この書籍から学べる事
①国債はどのような仕組みで回っているのか?
②国債の暴落が意味するところとは?
③なぜ増税が行われるのか?
① 国債はどのような仕組みで回っているのか?
まず、理解しないといけないのが、国債が市場で回っている仕組みです。
国債は、政府の歳出を賄ううえで、税収で調達できない部分を借金で調達することになります。これが、国債の位置づけです。
政府が発行した国債を、民間金融機関(銀行等)が購入し、この民間金融機関が購入した国債を、日銀が購入する。その際の代金が新たな通貨として、円の流通量が増えるという流れです。
国債からは、借金であるため、利息が発生します。その利息を日限が得た場合には、これを政府に上納することになります。日銀からすれば、通貨を発行したことによる利益を政府に還元しているということのようです。
そもそも国債とは、国が破綻しない限り元本が保証される債権であるため、ローリスク、ローリターンの商品です。
安全資産であるならば、利息を生まない現金で保有するよりも、利息を生むし、市場取引の対価としても使える国債として保有しておきたいというのが、民間金融機関の価値観であるとのことなんですね。納得です。
② 国債の暴落が意味するところとは?
国債は暴落するので、日銀は危ない!とか、円は不安だ!なんて話があるらしい。
そもそも暴落とは何か?
国債の暴落が意味するところは何か?
まず、暴落とは何か?について触れる必要がありますが、国債が、ギリシャ通貨や、破産した会社の株式のように紙切れ同然となることがあるのでしょうか?
まずこれはありえないとのことでした。なぜなら、国債の利率が低いからです。にもかかわらず、国債は、民間金融機関からの入札で購入される実態があるように、需要が相当程度あるからです。
国内だけでなく、外国からも日本の国債は購入されていますよね。
利率が低い債券を購入しようとするということは、それだけ信用度が高いということですよね。そんな国が破綻するのでしょうか?ということを考えるのが大事です。
次に、国債の暴落の定義をもう少し広げて、国債の利率が上がり、既に低利率で発行している国債の価値が下落した場合にはどのようなことがもたらされるでしょうか?
確かに、この場合には、既存の長期国債の価値は下落し、新たに発行された高い利率の国債に比べれば価値が暴落したといえるでしょう。
その一方で、利率が上がるとはどのような状況が起きているでしょうか?
日本の信用度が下がっている可能性もありますが、もう一つ大事な可能性として、日本が経済成長をしており、インフレ防止のために、緊縮政策により、通貨の流通量が減らされている可能性です。
つまり、国債の暴落とは、日本が経済成長をして、通貨の流通量が増え、インフレの兆しを見せている可能性があるということなんですね。
このように、一面的な恐怖をあおる情報だけでなく、「でもその場合って、どうなるの?」というように、自分のなかで、多面的に観察する視点が大切ということを教えられます。
③ なぜ増税が行われるのか?
なぜ増税されるのかの前に、国債の位置づけを考えるうえで、政府の財産状態を考える必要があります。
企業価値を図るうえでは、企業の売上額や利益額はもちろんのこと、企業が抱えている資産価値や含み益も観察しますよね。
最も企業運営を行う上で、資金繰りが苦しい場合資産を売却して、資金確保しますよね?
それでは、なぜ政府は資産を売却しないのでしょうか?
それでは、なぜ政府を観察するうえでその視点が抜け落ちるのでしょうか?
日本の借金額がやばいと一面的な事実だけに踊らされるのでしょうか?
それこそが、財務省の戦略だと言うのです。
財務省とは、国税庁を抱える税率や、税金制度を統括する省庁です。
財務省としては、
・増税を行って、自分の評価につなげ、天下り先を確保したい
・政府の資産(主に、天下り先への出資や貸付金)を処分させたくない
のような理由があるとのことです。
自分の天下り先確保のために、増税しないとまずいという論調で、増税が進められる。なるほど。。。
税金を取り扱う仕事をしている私としては非常に興味深い話でした。
この書籍から私が感じ取ったこと
この書籍は、国債とはどのような仕組みで運用されているのか?
政府の借金が意味することは何か?
を元財務省の役人だった方が解説している書籍であるが、その裏テーマは、別のところにあると私は考えました。
その裏テーマこそ、「情報に踊らされるな」ということだと思います。
事業を考えるうえで大事になるのが、情報をどのようにかみ砕き、自分のビジネスに落とし込むのかではないでしょうか?
それでも、自分は、マスコミに踊らされているのではないか?と考えている方は少数派ではないでしょうか?
その証拠に、「日経新聞を見ていない人間はビジネスマン失格」と言われることも多い。果たして、新聞が伝える情報はどこまでが真実なのだろうか。私たちは、一面からの情報に踊らされて、多面的に物事を観察する視点を失ってはいないだろうか。そのあたりを考えることが重要ではないかと感じました。
この書籍から私はそのようなことを感じ取り、人の話や情報を多面的に観察する癖を身に着けようと感じました。
その姿勢こそが自分を成長させるのではないかと思います!
ではまた!
まとめノート(時間がない方は、これだけ見てもOK!)
税理士 ヒロ
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