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信託の財産承継機能について考える(信託のリレー機能)

この記事を読むのに必要な時間は約 3 分 4 秒です。

家族信託については、以前ご説明しましたが、それでは信託の機能について深掘りしていきましょう。

信託の機能は以下の記事でも記載した通りですが、簡単に言うと①隔離機能②分解機能③リレー機能ということになります。

ここでは、そのうち③リレー機能の取り扱いを深堀りしていこうと思います。

リレー機能のポイントは3つ

順番の指定ができることについての信託法の考え方

指定できるのは、30年後の受益者の次の受益者までをどう捉えるのか

リレー機能の税法の考え方と税金の計算

①順番の指定ができることについての信託法の考え方

いきなり、難しいポイントテーマですが、このポイントがどんな時に問題になるかと言うと、先日解説した

信託受益権が特別受益にあたるかどうかを考える際に重要になってくるんですね。

特別受益に該当すれば、遺留分の減殺請求対象にもなってくるので、注意が必要です。

リレー機能では、財産を預ける人が、ずっと先までの受益者を決めておけるのでしたよね?

これに対する信託法の考え方は、受益者が変わるたびに、一度関係をリセットして、都度都度財産を預ける人から新たな受益者が受益権を取得するというふうに考えるんですね。

んっ?どういうこと?となりますよね。

たとえば、祖父Aが子Bを受益者として、信託を設定して、子Bの次を孫Cと設定した場合を考えてみましょう。

この場合、孫Cは、子Bから受益権を引き継ぐわけですが、信託法では、子Bも子Cも祖父Aから受益権を貰ったという考え方になるということです。

これが、「特別受益にどう影響するのか?」が大事ですよね。

現在の法令解釈上の考え方は、CはAから受益権である財産をもらっているのであって、Bから貰っているわけではないというように考えます。

話を少し複雑にして、Bに配偶者甲がいて、かつ、Bの次の受益者をAの甥っ子であるDに指定したとしましょう。

普通の遺言である場合を考えると分かりやすいのですが、BがAから引き継いだ財産(しかも財産の大半を占める)を相続人でもない、Dに渡すと、甲やCから遺留分減殺請求を受けるのは、可能性として高いですよね。

ただ、信託によれば、DはAから貰っているのであって、Bから貰っていないと考えるので、甲やCは、遺留分減殺請求ができないということになるんですね。

これを活用したスキーム組成も実務上ではちらほらあります。

②30年後の次の受益者までをどう捉えるのか

リレー機能は、受益者の順番指定ができる反面、ある制限がありましたよね?

それが、信託設定から、30年後の受益者の次の受益者までしか指定できない、いわゆる「30年ルール」による規制でしたよね。

それでは、永続的に順番指定したい時に、実務ではどう対応しているのか?

気になるところですよね。

結論としては、これに対する解決策はありません。

解決策を教えてほしいぐらいです笑

是非熱く語り合いましょう!

例えば、「受益者に法人を指定すれば、法人は死なないのだから、ずっと受益者として残りますよね?」

という鋭い疑問を持った方もいらっしゃるかと思いますが、

法人格を活用しても、結局はその法人格の株主や出資持分を誰に持たせるのか?ということになり、堂々巡りになってしまいます。

法人格に永続的に受益者を指定させる仕組みはどうか?という議論もありますが、同じことですね。

ただ、悲観してほしくないのが、「30年ルール」は、あくまでも受益者の指定の話であり、信託が強制終了するというような話ではないということです。これは、勘違いされる方も多いので、結構重要です。

③リレー機能についての税法の考え方

ポイントの①で、信託法の考え方は、都度都度委託者から新たな受益者が受益権をもらったというように考えるという説明をしました。

しかし、混乱させるようですが、税法ではこれと違った考え方を行います。

これが、信託が日本でなじみにくい原因の一つとも考えられているのですが、税法では、新たな受益者は、直前の受益者から相続または贈与によりもらったというように考えることになっています。

ポイント①の例示で言うと、CやDは、Aからではなく、Bからもらったというように考えるということです。

かつ、受益権を引き継ぐ都度相続税や贈与税が課税されることになります。

それでは、法人が引き継いだ場合はどうなるんだ?という疑問も生まれてきそうですが、無償または低廉で引き継いだ場合には、相続税や贈与税が同様にかかるということだけ、抑えていただければと思います。

これは、他の財産に対する税金とのバランスを考えると当然なのですが、「信託をしても税金のメリットはない」と言われている理由であり、「節税メリット」がなければ、お金を払ってまで実行しないという層が多いため、あまりなじまないというのが、実状ではないかと思います。

おわりに

今回は、信託のリレー機能を説明するとともに、信託があまり日本になじまない理由を解説しました。

ちなみに、アメリカでは、通常の遺言は、公に開示されてしまうため、富裕層は、こぞって信託を使って、財産承継をしていくのが、一般的なようです。

マイケルジャクソンやディズニー家の信託が有名なので、調べてみるとおもしろいかと思います!

私は、節税メリットうんぬんにかかわらず、資産承継を考えたときには、自由な設計ができる信託がもっともっと日本に浸透することを願っております。

節税だけに目を向けない価値観が浸透すれば良いなと思います!

ではまた!

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税理士 ヒロ

経営者、数字が苦手な方に寄り添い、税務の立場から支援したいという思いから税理士を目指し、20歳の時に税理士試験に合格しました。 その後、資産承継、事業承継に特化した税理士事務所に入社し、日々顧客の満足とは何か、自分の成長の形とは何かを追い求め、7年目に突入しました。 こちらのブログでは、私の日々の学びやアウトプットを記事として投稿しておりますが、会社経営をされる方、新規事業を考えられる方、事業戦略を考えている方の少しでも参考になれば嬉しい限りです。 私のアウトプットを通して、足りないと感じていた1ピースや、改めて見つめなおすべき1ピースを見つけ、考え直す場として活用頂ければと考えております。

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