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1700億円の税金が還付された武富士事件って何?サクッと理解!

この記事を読むのに必要な時間は約 3 分 36 秒です。

1700億円の税金還付!すごい響きですよね!うち400億円は利息なので、これだけでもかなり大きいですよね〜

少し難解なこの裁判例を3つのポイントで解説していきます。

目次

本記事のポイント

①武富士事件を一言で言うとこうなる

②武富士事件の内容

③武富士事件から私が読み取ったこと

①武富士事件を一言で言うとこうなる

まず武富士事件を一言でいうと、「1650億円もの財産を息子に贈与税無税で渡した話」です。

②武富士事件の内容

武富士事件の内容を知る上での要点は、以下の3つです。

要点1:当時の税法は、国外居住の人が、国外の財産を受け取った場合には、贈与税が免除されていた

まず、①については、記載の通りですが、当時の税法は、国外居住者が国外財産を受け取った場合には、相続税も贈与税も免除されていました。今では、何度もルールが変わっていますが、この当時は、息子を海外に住まわせて、形式的な海外財産を渡して、財産を承継するという対策がちらほらありました。

これに限らず、税法の穴を見つけて、商品を開発する業者は、結構多いですよ。

要点2:息子の住所が日本か香港かで争って、香港居住が認められた

次に、②については、ここが本件の一番のポイントなので、丁寧めに解説しますね!

話をややこしくさせるのが、相続税や贈与税を決める法律に、明確に住所の定義がされていませんので、他の法律の総合的に判断というふわっとした概念から考えるしかないというところです。

しかも、フローチャートに従って、、、なんてことはできません。

住所の判定については、その時点での住民票の場所だけじゃなく、1年間の中での滞在日数や、保有財産のバランス、勤務地との関係、家族の住所地など、総合的に判断していくことになります。

裁判の中でもは、その人の最も関係が深い生活の中心地が住所!みたいな本当に概念的な記載になってます!

住民票移しておいたら大丈夫ですか?という質問に対して、「それだけでは、なくて、うんぬん」と答えるのもそういう理由なんですね~

武富士事件に関しては、3年半の間での香港滞在が、累計2年3か月(約2/3弱)、日本滞在が、累計11か月ぐらいのバランスです。これだけみればもう香港在住決定と即終了しそうなものですが、、、

裁判の中では、

・香港での所有財産に対して、日本での所有財産の比率が、1682倍以上(5,000万円:841億円ほか)ある話

・武富士の役員に就任していて、どのみち会社継ぐ気なら、将来日本に戻ってくるの確実が高いのでは?

・香港の暮らしは、ホテル同様の施設なので、もう家じゃないでしょ?

などの話も持ち出されています。

ただ今回は、滞在日数の割合が、3分の2程度香港で、それを超える日本在住という理由がなかったというのが、どうやら決め手のようです。

ちなみに、香港については、相続税も贈与税もないため、香港側での税金は発生していないです。このあたりも結構考えられた作戦ですよね。。。

また、オランダについても、オランダに住んでいない人からの贈与は、税金がかかりませんので、オランダ側での贈与税課税もありません。

要点3:日本所在の会社の株式を外国の会社に持たせて、外国財産という状態を作り上げて渡した

最後に、③については、創業者夫婦が所有していた武富士の株式をオランダに所在する会社に売却して、オランダ会社の出資持分を息子に渡したという流れです。

お金でイメージしましょう。お金を直接渡すのではなく、海外の口座に送金して、その海外口座を渡したような感じですね~

出資持分については、発行会社の所在地で見るため、ここでは国外財産ということになります。

というのが、武富士事件の内容です。

③武富士事件の裁判文章から読み取れたこと

最後に、この裁判例から、読み取れることを、以下に書いていきます!

一:実務では、非常に珍しいことに、贈与税について、税務署からの指摘がある

実務上、贈与についてとやかく言われるのは、だいたいは、渡した人がお亡くなりになって、把握できる生前取引から発覚した場合なんです。生きていて、申告していない取引までは把握するのが、難しいということなのでしょう。。。

二:贈与税の時効直前に税務調査が入っている

所轄税務署の賦課決定処分が、申告期限から5年ぐらいの時点なので、時効の終盤ぐらいに税務調査が来ている(時効は、6年。悪質な場合は、7年)

※出資持分の贈与1999年末、調査による指摘2005年3月

三:結婚して、家族が日本にいたとかじゃなかったのが救いか?家族が日本にいたとかで、否認された事例もあります。

四:明確に節税の意図が読み取れてもそれだけでは、課税できない

これは、かなり大事です。

五:出資持分を贈与したのは、税制改正に対する対策ではないか

1999年年末の贈与については、2000年の税制改正で2000年4月1日以降の贈与については、日本国籍があり、渡す人、受け取る人のいずれかが5年以内に日本に居住していれば、国外財産でも課税対象となる時期の直前である。

六:武富士の計画的倒産をしたのでは、と疑問が浮かぶ

還付金1700億円が確定したのは、2011年2月であり、武富士は、実質的に倒産した2010年より後で、息子も既に役員退任済みであるため、1700億円を個人で確保するために、早めに武富士を倒産させたのでは?

七:経済的合理性は特に注目されていない。

オランダの箱を使うことに経済的な合理性は特になく、節税のためにという色が色濃いけど、形式を否定して、実質国内財産だ!などの認定はされていない。今なら結構争点に上がりそうな論点です。

八:オランダの会社に株式を譲渡したときの税金はどうなっていたのか特に記載がない。

個人側での譲渡所得税や、無償や低額譲渡とかなら、オランダ側での受贈益課税はどうなっていたのか?何も触れられていないということは、日本側でもオランダ側でも課税はなかったのか?

ただ、この部分は、株式のオランダ法人への売却が、1998年3月であるため、2005年3月の時点では、申告期限から既に5年以上経過しているため、この部分からは税金を回収できなかったと推測しています。

そんなところでしょうか

なかなか計画的な事件ですよね~

利息を過払いしていた債権者の方々にしては、溜まったものではありませんね。

しかし、疑わしきは罰せず!これが税法上の原則なんですね。

ふむ。勉強になります。

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税理士 ヒロ

経営者、数字が苦手な方に寄り添い、税務の立場から支援したいという思いから税理士を目指し、20歳の時に税理士試験に合格しました。 その後、資産承継、事業承継に特化した税理士事務所に入社し、日々顧客の満足とは何か、自分の成長の形とは何かを追い求め、7年目に突入しました。 こちらのブログでは、私の日々の学びやアウトプットを記事として投稿しておりますが、会社経営をされる方、新規事業を考えられる方、事業戦略を考えている方の少しでも参考になれば嬉しい限りです。 私のアウトプットを通して、足りないと感じていた1ピースや、改めて見つめなおすべき1ピースを見つけ、考え直す場として活用頂ければと考えております。

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