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不動産取得による節税対策の留意点(路線価評価額の否認事例)2019年8月27日東京地裁

この記事を読むのに必要な時間は約 2 分 53 秒です。

この記事を読んで分かること

・資産組み替えによる相続税対策とは何か?

・路線価評価が否認された裁判例の内容

・裁判例を今後の実務に活かすための教訓

相続税対策とは

短期的に相続税を節税する方法で最も一般的なのが、「借入をして、不動産を買う」なのではないでしょうか?

なぜ、借入をして不動産を買えば相続税が減らせるのでしょうか?

なぜなら、不動産については、時価と相続税評価額のかい離が大きいのが一般的だからです。

都市部の土地については、路線価という公示地価の80%相当額をベースとした評価を行いますし、建物については、固定資産税評価額が採用されることにより、時価の6~7割ぐらいの評価額になることが一般的です。誰かに貸している物件であれば、更なる減額も用意されているので、かい離は比較的生み出しやすいです。

一時流行ったタワーマンション購入による相続税節税はこれを更に強めに利用した対策です。

というのも、建物の固定資産税評価額は、階層に限らず、素材や構造により、決まるため、上層階ほど評価額が上昇するということがないためです。(税制改正前当時)、土地についても、超高層になればなるほど持ち分が各部屋に割り当てられることで、評価額が低くなります。

そのため、自己資金がない人が、借入をして、「時価と相続税評価額にかい離がある不動産」を購入すれば、プラスの資産である不動産よりも莫大な借入金が残り、相続税計算上の含み損を造り上げて、相続後何年かしたら、売却する。なんていう話も実務上はちらほらあります。「3年」は待ちましょう!!なんて言ってたあれですね。。。

2019年8月27日東京地裁の内容

前段が長くなりました。

今回ご紹介させて頂くのは、つい最近2019年8月27日に東京地裁で時価に対して著しく低い路線価評価額により、相続税申告を行って否認された事例です。

こちらの判例についての要点、ポイント、今後への学びなどを整理しようかと思います!!

裁判例を読み解くポイント

まず、何がいけなかったのかという要点を以下3つにまとめます。財産評価の仕組みについて有る程度詳しいよという方はこの部分だけでも読んで頂けると理解が深まるかなと思います!

否認された理由(判例からの読み取りと管理人の経験から)

① 購入金額と相続税評価に乖離と借入による節税効果が発生しており、相続税申告期限内に売買も実行している。申告時添付した不動産登記簿に債権額(根抵当引き上げ又は抵当権)が明示されていたことで、手軽に時価と評価額の差が把握されたのではないか?

ちなみにどれぐらいかい離しているかというと、実に4倍!!!具体的な数値については、最下部の表参照!

不動産には、鑑定評価額という客観的な指標が存在するうえ、購入額とも大きな開きはない。評価の取り決めによりがたい特別な事情の判定として、直後売買、鑑定評価額の存在、借入の明示が響いたのでは? 評価を低くするために、手を加えているわけではないが、時価と路線価の差額は購入時 にもある程度把握できているはず。。。

一連の動きに節税の意図が明確だった。 金融機関から融資を受けて不動産を購入しているが、金融機関の行内稟議書に、「相続税対策のための融資」という文言が確認される。ここまで見てくるのか。。。と思った方!税務署は、権限が強いため、マイナンバーとか関係なく、預金の動きから、銀行の内部資料からすべて見てきますよ!ご注意を!!

その他判例内で触れられていること

・相続で財産を貰っている孫が、節税目的の不動産購入直前に養子縁組しているため、節税目的の色が強い。相続税ゼロで世代飛ばしとは、大きく出ましたね。

・東日本大震災とかの影響で、確かに公示地価は上昇していないけど、投資用不動産については、需要も高く市場としての価値は高い。だから、路線価が市場に追いついていないだけなので路線価を採用するべきではない←路線価ってなんのためにあるの??????

・買った当時も高額で買わざるを得ない状況とかは特になかったのではないか←時価相当で買ってるんだからおそらく有るわけない。これに対しては、納税者は反論なし。

・不動産買う前は相続税の対象財産が6億円以上あったのに、不動産買うことによって3000万円以下まで下がっている→基礎控除以下により相続税の負担ゼロへ。しかも世代飛ばし。

今後の実務対応に活かすための教訓

最後に、それでは今後どういう対応をして気をつけていけばいいの?を考えたいと思います!(あくまで私個人の私見です。不動産取得実行にあたっては、顧問税理士先生がいらっしゃれば相談されることをおすすめします!)

①不動産購入については、路線価だけでなく、周辺の市場の状況とのバランスも見ておく

②不動産購入に関する合理的な理由を用意しておく

③時価と財産評価額の比率を把握しておく。⇒4倍はアウトでした。これが今後の事例の積み重ねでセーフなラインが固まってくるのかなと思います!!

高額な不動産購入する場合には、相続税のこういった節税の否認リスクだけじゃなく、利回りとか、消費税の取り扱いとか考えることはたくさんあるので、じっくり考えましょうということですね!

(参考資料)表による整理※管理人作成

ではまた!

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税理士 ヒロ

経営者、数字が苦手な方に寄り添い、税務の立場から支援したいという思いから税理士を目指し、20歳の時に税理士試験に合格しました。 その後、資産承継、事業承継に特化した税理士事務所に入社し、日々顧客の満足とは何か、自分の成長の形とは何かを追い求め、7年目に突入しました。 こちらのブログでは、私の日々の学びやアウトプットを記事として投稿しておりますが、会社経営をされる方、新規事業を考えられる方、事業戦略を考えている方の少しでも参考になれば嬉しい限りです。 私のアウトプットを通して、足りないと感じていた1ピースや、改めて見つめなおすべき1ピースを見つけ、考え直す場として活用頂ければと考えております。

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